引越荷物量 日本と欧米の違い=25年間のノウハウ7=




●荷物の破損と紛失はなぜ起きる?

荷物の量: 日本と外国 ・狩猟民族と農耕民族の違い

欧米人の引越の場合には運べる荷物の許容量が会社によって無制限であったり、制限があってもその枠が非常に大きいので普通は混載をすることがありません。
日本の会社の場合各社若干の違いはありますが平均すると日→外国の場合に持っていける荷物量は平均して10CBM(標準箱換算で約100箱)、帰国時が20CBM(2倍)というのが 普通です。
欧米の会社の場合は40FTコンテナー2本までということもあります。容積で言うならば70CBMほどになります。行き帰りで二倍すると140CBMとなります。 これは日本の会社平均の往復30CBMの実に4倍強の荷物量になります。

なぜこんなに差がついているかというと、国民性の違いと言ってしまえばそれまでですが、数万年前にさかのぼって「狩猟民族」と「農耕民族」のDNAがその根本にあるかもしれません。
狩猟民族は土地を転々と移動して生活をし、ほとんどの場合同じところに戻ることなく季節により移動しますが、日本式農耕民族は一定の場所に定住してそこを基点としているため遠方に 狩猟や採り入れに行っても必ず元に戻る生活をしてきました。

中世以降、欧米人は宣教師として外の世界に行ったきり(または期間を限定しないで行く)ということが多く、現代に至っても同じ傾向があります。宣教師の渡航はずっと続いてきました。
現代(終戦後以降)もしかりで、日本に来る欧米人は割りと長期(10年とか20年とか、言い方を変えれば飽きるまで)の滞在型が多い。

また、狩猟民族は同じ場所に戻ることを前提とせず移動するため持てる家財(昔の家財といってもほとんど無かった、又は持たなかったかもしれませんが)は常に全部持って移動するのが当たり前、自然の ことでした。
もともと一定の場所に保存とか倉庫に置くという発想は無かったようです。
そのようなDNAが続いているため現在の時代に至るも「引越時は荷物は全部持っていく」というのが当たり前の発想になっているためと考えられます。

では日本の場合はどうでしょう? 

日本の場合には典型的な農耕民族ですから発想が根本から違います。
もっとも動物蛋白が必要ですから狩猟はしますが、それもひとつの島の中の極めて限定された範囲のことで数日、数週間の後には元の場所に戻ることを前提として狩猟をしていましたが、 欧米の場合は陸続きですからどこまでも行ってしまう、何年もかかってしまうことになります。
日本人が海外にどっと出て行くようになったのは戦後、それもせいぜいここ30-40年の出来事です。
大昔と違い海上交通も発達してきたつい最近のことです。

帰巣本能があり、「いつかは戻る」、それも「できるだけ早く」という発想があるため、会社側は「なるべく早く戻れるように考慮するから・・・」と始まった海外駐在が「となりが気になる」日本人的発想で ものごとを考えるとおのずから「似たり寄ったり」の発想が定着して、現在では一般的な海外駐在期間は「4-5年」が最大公約数と言えるでしょう。

例外はどんな時にもあるわけで、「適応性がない」と判断されて1年で帰国させられる人もいれば、現地で男女の関係がおかしくなって緊急避難的に帰国(逃げ帰る)ケースもあります。
私のように転々としながら20年以上も外国暮らしになることもあります。

戦後、加工貿易立国を国策と掲げた日本は経済成長を求めて再出発の道を歩み始めました。
まず、それには商社マンの活躍が欠かせませんでした。
世界中に商社マンが製品の売り込み、素材の買い付けに進出して行くようになりました。
長期出張型から外国駐在型に変えてじっくり現地で情報収集からビジネスの根回しまで人脈を構築することを考えていったのです。

長期出張であれば大型旅行かばんひとつですみますが、何年も住むとなるとそうは行かず、ある程度の荷物が必要となります。
「すぐ帰るのだから荷物も必要最小限で良いだろう」というところから身の回り品に限定して持っていくようになりました。
だんだんと時代が下って70年代になると戦後も終わり、世界の交通事情も飛躍的に良くなり、日本の認知度も上がって来た。
この頃から日本のメーカーも安い労働力を求めて、さらには現地で生産して日本からの輸出のための物流コストを下げる効果を狙っていた。
単身赴任で1年ごとに交代しているのでは効率が悪い。そこで家族で赴任して2-3年居てもらったほうが会社としても経済性が良いとどこの会社も考えるようになった。

(課長) 「どうだろう?ニューヨークだけど2-3年行ってもらえないだろか?もちろんかなりの長期になるから家族も希望があれば一緒に行って貰っていいよ。 これからは英語もどんどん必要になる時代だからね。広い世界を見ることはお子さんのためにもなると思うよ」
(社員) 「・・・」 (ニューヨーク:期待が半分、不安が半分、それでも行ってみたい気もする。)
(課長) 「荷物もそれなりに持って行っていいよ」
(社員) 「家具類はどうしたら良いか?」
(課長) 「実家には置けんかね?」
(社員) 「とんでもない、そんな場所はどこにも無い!」
(課長) 「じゃあ倉庫に預けてくれ。費用は会社が持とう」




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